ラテン語wiki


前置詞

_ 前置詞を学ぶ前段階

_ 前置詞

  • 前置詞の勉強をする前に、名詞変化をおさらいしておいて下さい。
  • Inter arma silent Musae. (武器の間、ムーサたちは沈黙する)
  • この例文で、arma は主格ではなく対格と考えられます。inter (・・・の間に)という前置詞は、「対格を支配する」ためです。羅英辞典では with acc. (acc. は accusative:対格)と表記されています。
  • Margaritas ante porcos mittere. (豚の前に真珠を投げること)
  • この例文で ante という前置詞の次には porcos という対格がきます。porcos は「豚」を意味する第二変化名詞 porcus の複数・対格です。ante は「・・・の前に」を意味します。

_ 前置詞の確認テスト

http://aeneis.net/quiz/quiz.cgi?d=prep&m=1 ラテン語検定試験前置詞テスト

_ 前置詞

_ 3つの種類

  • 以下それぞれの順に前置詞を紹介していきます。

_ 対格のみを支配する前置詞の例

  • ad (~まで、~へ)
  • Abī ad formīcam, ō piger.
    • Abī は「去る」を意味する不規則動詞?abeō(※ab+eō の合成語)の命令法・能動相
    • formīcam) は「アリ」を意味する第1変化名詞 &latin(formīca の単数・対格
    • piger は「怠け者」を意味する第3変化形容詞呼格形容詞の名詞的用法の一例です。
    • 「アリのところへ行け、おお怠惰な者よ。」という意味です。
  • Ab ōvō usque ad māla.
    • 「アブ・オーウォー・ウスクェ・アド・マーラ」と発音します。
    • 第2変化中性名詞 ōvum の単数・奪格が ōvō 、同じく第2変化中性名詞 mālum の複数・対格が &latin(ma_la) です。
    • 前置詞 ab は奪格を支配し、ad は対格を支配します。
    • 「卵からリンゴまで」という意味です。ローマ人の食事は卵で始まり、デザートはリンゴで締めくくられました。
    • 意訳すれば、「最初から最後まで」という意味になります。
  • Nōn est ad astra mollis ē terrīs via.
    • astra は「天」を意味する第2変化名詞?astrum の複数対格
    • mollis は「やさしい、平坦な、平穏な」を意味する第3変化形容詞
    • ē は「・・・から」を意味する前置詞奪格をとります。
    • terrīs は「大地」を意味する第1変化名詞 terra の複数奪格
    • via は「道」を意味する第1変化名詞単数・主格
    • 「地上から天への道は平坦ではない。」という意味です。
  • Nōn statim pervenītur ad summum.
    • statim は「ただちに」を意味する副詞。
    • pervenītur は自動詞の受動相ということで、非人称的表現となります。「(人は)到達する。」と訳せます。
    • summum は「最高の」を意味する第1・第2変化形容詞 summus -a -um の中性・単数・対格。ここは形容詞の名詞的用法。「山頂、頂点」を意味します。
    • 「ただちに頂点に達することはない。」という意味です。
  • Omnēs artēs, quae ad hūmanitātem pertinent, habent quoddam commūne vinculum.
    • Omnēs は「すべて」を意味する第3変化形容詞 omnis の女性・複数・主格で artēs にかかります。
    • artēs は「学問」を意味する第3変化名詞 ars の複数・主格
    • quae は関係代名詞で先行詞は artēs です。
    • hūmanitātem は「人間性」を意味する第3変化名詞 hūmanitās の単数・対格
    • pertinent は「かかわる」を意味する第2変化動詞 pertineō の3人称複数。
    • habent は「もつ」を意味する第2変化動詞 pertineō の3人称複数。
    • quoddam は「ある人、もの」を意味する不定代名詞 quīdam の中性・単数・対格
    • commūne は「共通の」を意味する第3変化形容詞 commūnis の中性・単数・対格
    • vinculum は「絆」を意味する第2変化名詞単数・対格
    • 「人間性にかかわるすべての学問はある共通の絆を持っている。」と訳せます。キケローの学問観を表した有名な言葉です。
  • Per aspera ad astra. 苦難を通じて栄光へ。
  • ante (~の前に)
  • Nēmō ante mortem beātus. 誰も死ぬ前に幸福ではない。
  • apud (~の家で)
  • contrā (~に反して、敵対して)
  • inter (~の間の)
  • Inter arma silent Mūsae. 戦争の間ムーサたちは沈黙する。
  • ob (~の理由で)
  • per (~を通じて、~によって)
  • Longum est iter per praecepta, breve et efficāx per exempla. 訓戒を通じての道は長いが、模範を通じての道は短く効果的である。
  • Per aspera ad astra. 苦難を通じて栄光へ。
  • post (~の後に)
  • Ede, bibe, lūde, post mortem nulla voluptās. 食べよ、飲め、遊べ。死後に快楽なし。
  • prope (~の近くに)
  • propter (~の近くに、~のゆえに)
  • trāns (~を横切って)

_ 奪格のみを支配する前置詞の例。

  • ā, ab (~から、~によって)
    • Ab ōvō usque ad māla. 卵からリンゴまで。
    • Ab ūnō disce omnēs. 一からすべてを学べ。
  • cōram (~の面前で)
  • cum (~と共に)
    • Nec possum tēcum vīvere, nec sine tē. おまえとともに生きられない。おまえなしに生きられない。(tēcum は cum tē を意味します。)
  • dē (~から、~について)
    • dē factō (事実上)
    • Dē Nātūrā Deōrum (『神々の本性について』キケローの作品)
    • Dē Rērum Nātūrā (『事物の本性について』ルクレーティウスの作品)
  • ē, ex (~から、~から外へ、~によって)
    • Amor ex oculīs oriens in pectus cadit. 愛は目から生じ胸に落ちる。
    • Bonae lēgēs malīs ex mōribus prōcreantur. よき法律は悪しき習慣から生まれる。
    • Nōn est ad astra mollis ē terrīs via. 地上から天への道のりはやさしくない。
    • Ex nihilō nihil fit. 無から無は生じない。
  • prae (~の前に、~と比べて)
  • prō (~の前に、~のために、~の代わりに)
  • sine (~なしに)
    • Imperium sine fīne dedī. 私は際限のない支配権を与えた。(ウェルギリウス?『アエネーイス』におけるユピテルの言葉)
    • Nec possum tēcum vīvere, nec sine tē. おまえとともに生きられない。おまえなしに生きられない。
    • Nunquam perīculum sine perīculō vincēmus. 我々は危険なしに危険に打ち勝つことはないだろう。

_ 対格奪格を支配する前置詞の例

  • in (対格をとる例:~の中へ )
    • Amor ex oculīs oriens in pectus cadit.
    • Dum vītant stultī vītia, in contrāria currunt.
    • Vīnum novum in utrēs novōs mittendum est.
  • in (奪格をとる例:~において)
    • Amīcī in rēbus adversīs cognoscuntur.
    • Bis vincit, quī sē vincit in victoriā.
    • Bonī est virī etiam in morte nullum fallere.
    • Est deus in nōbīs.
      • est は不規則動詞 sum の3人称単数。主語は deus (神)。
      • 人称代名詞 nōbīs は形の上では与格奪格が同一です。しかし、in は奪格(ないし対格)支配の前置詞ゆえ、この文では奪格と判断できます。
      • 「神は我々の中にいる。」という意味で、ローマの詩人オウィディウスの表現です。
    • Doctus in sē semper dīvitiās habet.
      • 知恵ある者は(doctus)常に(semper) 富を(dīvitiās)自らの中に(in sē)持つ(habet)。
    • In principiō creāvit Deus caelum et terram.
      • principiō は「はじめ」を意味する第2変化名詞 principium の単数・奪格
      • creāvit はcreō「生む」の直説法・能動相・完了3人称単数。
      • Deus は「神」の意味。
      • caelum は「天」を意味する第2変化名詞単数・対格
      • terram は「大地」を意味する第1変化名詞 terra の単数・対格
      • はじめに神は天と地をつくった。」という意味になります。
    • In tenuī labor, at tenuis nōn gloria.
    • In vīnō vēritās.
    • Lītore quot conchae, tot sunt in amōre dolōrēs.
    • Lupus in fābulā.
    • Misce stultitiam consiliīs brevem, dulce est dēsipere in locō.
    • Nisi in bonīs amicitia esse nōn potest.
    • Sapiens habet dīvitiās in sē.
    • Tempora mūtantur, et nōs mūtāmur in illīs.
  • sub(対格をとる例:~の下へ)
    • sub jugum (くびきの下へ)
  • sub(奪格をとる例:~の下に)
    • Nihil sub sōle novum.
      • nihil は英語で nothing の意味をもち、中性形として扱います。この文の主語。
      • 対応する第1・第2変化形容詞 novum(=new)は nihil と同
      • sub は under の意味を持つ前置詞で、次に sōle のような奪格をとる。
      • sōle は第3変化名詞? sōl の単数奪格
      • 「何ものも太陽の下に新しいものはない。」という意味になります。
Last-modified: 2010-06-20 (日) 22:32:39 (78d)