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属格

属格(ぞっかく)gen.
英語の所有と同じ用法も含まれますが、それ以外にも様々な使い方があります。

_ 所有

もっとも一般的な属格の用法です。

  • Vōx populī vōx deī.
    • populīと deī が単数属格です。それぞれ vōx にかかっています。
    • 動詞 est が省略されています。
    • 「民衆の声は神の声(である)」という意味です。

_ 性質

性質を示すために属格が使われる例があります。

  • vir magnī ingeniī
    • vir は「男」を意味する第2変化名詞です。
    • magnī は「大きい」を意味する第1第2変化形容詞 magnus -a -um の中性・単数・属格で ingeniī を修飾します。
    • ingeniī は「才能」を意味する第2変化名詞(中性)の単数・属格で、vir にかかります。
    • 「大きな才能の男」と訳せますが、その意味は「大きな才能をもった(そのような性質の)男」ということになりますので、文法的に、この属格の用法を「性質の属格」と呼びます。

_ 価値

売買、評価の意味を持つ動詞は、価奪格とともに用いられますが、他方、形容詞属格とともに用いられる場合もあります。

  • Homō parvī est, quī piger est.
    • Homō は「人間」を意味する第3変化名詞単数・主格辞書の見出しの形)で、この文の主語になります。
    • parvī は「小さい」を意味する第1・第2変化形容詞 parvus, -a, -um の単数・属格です。
    • est は「・・・である」を意味する不規則動詞 sum の単数・3人称です。
    • parvī は属格ですが、価値の属格と解釈することにより「小さい価値しかない状態」と訳せます。
    • 前半の訳は、「人間は小さい価値しかない」となります。
    • 後半の関係代名詞 quī の導く従属文は、「piger (怠惰な)であるところの(quī)」と訳すことができ、前半の Homō にかけて解釈できます。
    • 全体をまとめると、「怠惰な人間は小さい価値しかない。」という意味になります。

_ 限定

特殊な用法です。一般には、奪格がこの用法を代表します。

  • sānus mentis aut animī
    • mentis と animī はどちらも単数・属格で、「いかなる点においてそうなのか」を意味します。
    • 意味は、「精神においても、魂においても健全な(sānus)となります。

_ 目的

意味上目的語に相当する言葉が属格の形で示される用例があります。

  • studium litterārum
    • studium は「熱意、没頭」という意味の第2変化名詞(中性)、単数・主格です。
    • litterārum は「文学」を意味する第1変化名詞 litterae (複数で「文学」の意味)の複数・属格で studium にかかります。
    • 直訳すると「文学の熱意(没頭)」となりますが、文学を擬人化するのでないかぎり、文学が何かに夢中になることは論理的におかしいです。
    • この場合、studium の意味上目的語に相当する「文学」という対象が属格であらわされていると考えられます。日本語にすると、「文学への熱意(没頭)」と訳せます。

_ 主語的

動作や感情を表す名詞は、属格の主語をとることがあります。

  • īra dominī
    • īra は「怒り」を意味する第1変化名詞(女性)です。
    • dominī は「主人」を意味する第2変化名詞(男性)の単数・属格です。
    • 「主人の怒り」とふつうに訳せばよいわけですが、 この表現では「主人が怒る」と解釈できます。
    • ここで注意しないといけないことは、上に例示したように「目的の属格」との区別です。
    • 同じ表現でも、文脈によっては、「主人に対する怒り」と解釈できる場合がありえます。

_ 述語的

所有の与格と似た用法です。「所有の属格」の一用法です。

  • Hīc versus Plautī nōn est.
    • hīc は「この」を意味する代名詞で versus にかかります。
    • versus は「詩」を意味する第4変化名詞の単数・主格です。
    • Plautī は劇作家プラウトゥス(Plautus)の単数・属格で、属格の述語的用法とみなせます。
    • nōn est で、「・・・ではない」と打消しの意味になります。
    • 「この詩はプラウトゥスのもの(Plautī )ではない。」となります。
    • 「これは(Hīc)プラウトゥスの詩(versus Plautī)ではない。」と解釈することもできます。この場合、一般的な「所有の属格」の用法となります。
Last-modified: 2009-07-05 (日) 16:44:17 (428d)