ラテン語wiki


第一変化動詞

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教科書第三課では「第一変化動詞第二変化動詞・possum の変化」を学びます。

このページでは第一変化動詞について説明します。

教科書15ページに第一変化動詞の例が載っています。

これらの動詞を活用させてみましょう。

_ portō の活用(直説法・能動相・現在)

portō):, portat, portāmus, portātis, portant.

順に「ルトー・ルタース・ルタト・ポルタームス・ポルターティス・ルタント」と読みます。(太字にアクセント

  • portat は「ポルタt」と表記する先生もおられます(要は-t はトではないということですね)。

_ dō の活用

dō について、(次ページを見よ)と特記してあるのはなぜだと思いますか。

よく注意して見ると、他の第一変化の活用と一つ違う点が見つかります。

ヒントを述べます。かりに、他の第一変化と同じように活用するなら、「ドー・ダース・ダト・ダームス・ダーティス・ダント」と読むことができるはずです。しかし実際は・・・。

16ページの表をよく見て下さい(宿題)。

_ 答え

実際の発音はこうです。 「ドー・ダース・ダト・ダムスダッティス・ダント」となります。違いがわかりますか?不定法は dare (ダレ)であり、ダーレではありません。よって、amō, amāre (アモー・アマーレ)のような変化と一緒にはできないというわけです(それゆえ不規則動詞扱いされています)。

_ 例文

  • Dum spīrō, spērō. 
    • dum は英語の while に相当する接続詞です。
    • spīrō :息をする
    • spērō :希望を持つ

訳はどうなりますか?答えは下の方にあります。

_ 第1変化動詞

_ amō(アモー、愛する)の現在の変化

人称・数単数複数
1人称amōamāmus
2人称amāsamātis
3人称amatamant
  • 動詞の活用の覚え方
    • 活用を覚える際、1人称単数から3人称単数、続いて1人称複数から3人称複数の順に読んで暗記していきます。
    • ラテン語学習といえば「第1変化動詞」の暗記から始まります。そして、「第1変化動詞」といえば、amōの変化。声に出し、また、紙に書いて覚えるとよいでしょう。
    • amō, amās, amat, amāmus, amātis, amant の順に読みます。
    • 発音は「アモー・アマース・アマト・アマームス・アマーティス・アマント」です。
    • amō(アモー)は英語では"I love"の意味です。つまり単に「愛する」という意味ではなく、主語も含め「私は愛する」を意味します。
    • 同様に、amās(アマース)は「あなたは愛する」、amat(アマト)は「彼(彼女)は愛する」、amāmus(アマームス)は「私たちは愛する」、amātis(アマーティス)は「あなた方は愛する」、amant(アマント)は「彼らは(それらは)愛する」という意味になります。
  • 動詞の活用の基本
    • このことが飲み込めたら、ラテン語の勉強のもっとも大切な「動詞の活用」について、その基本を理解できたことになります。
    • なお、ラテン語の動詞は全部で次の4タイプの活用をします。
    • すなわち、第一変化動詞第二変化動詞第三変化動詞第四変化動詞の4タイプがあります。
      • 第三変化動詞には活用の仕方が一見第四変化動詞に見える第三変化Bと呼ばれるタイプの動詞があります。教科書によってはこれを第五変化動詞と表記しているものもあります。
      • capiō は複数3人称の形が capiunt となります。これは第四変化のaudiunt と同じです。第三変化の agunt と同じというより第四変化動詞に数えたくなります。しかし、capiō の不定法の形は capere となり、agere と同じく -ere で終わります。それに対し、第四変化動詞の audiō の場合は、audīre となり、-īre で終わります。不定法活用タイプの識別をするという方針に照らせば、&latin(capio): は第三変化動詞とみなせるわけです。

_ 動詞の4つの変化形

  • 4つの変化形の区別の仕方
    • 動詞の区別は不定法の形で容易に判別できます。
      変化形動詞の例不定法の形不定法の語尾
      第1変化動詞amōamāreāre
      第2変化動詞moneōmonēreēre
      第3変化動詞agōagereere
      第4変化動詞audiōaudīreīre
    • 不規則変化動詞を除くと、ラテン語の動詞はみないずれかの変化形に属します。
    • これは考えてみるとすごくありがたいことです。学習者は、1)それぞれの活用変化の代表例を1つ暗記する。2)個々の動詞について、不定法の形からどのタイプの活用をするかを見極め、代表例の活用変化と照らし合わせる。
    • たったこれだけで、ほとんどすべてのラテン語の動詞の活用は理解できるわけです。この変化形のタイプが100も200もあるのであれば、私は今ごろラテン語の勉強なんてしていない、と言ってよいくらい、ありがたい事実なのです。
    • ただその前提として、動詞の不定法の形をよく知らなければなりません。これは辞書の見出しの右横(見出しから数えて2つめの位置)に記載するのが慣例です。
    • Oxford の An Elementary Latin Dictionary は例外で、4つ目に記しています。現在、完了、完了分詞不定法の順です。

_ 第1変化動詞の例

  • 第1変化動詞の語彙を増やす
    • 第1変化動詞にどのような単語があるのでしょうか。
    • 語彙を増やすためにも、日ごろから少しずつメモを取りながら、第1変化動詞だけを一カ所にまとめて書き出すなど、工夫してもよいですね。
    • このページに出てくる第1変化動詞をまとめてみました。
      ラテン語日本語ラテン語日本語
      cantō歌うportō運ぶ
      narrō語るhabitō住む
      ōrō祈るlabōrō働く
      cōgitō考えるspīrō息をする
      spērō希望を持つcaptō捕まえる
      dēlectō喜ばせるvolō飛ぶ
    • 補足
      • imperō 支配する
      • vulnerō 傷つける
      • cūrō 世話をする
      • sānō 癒す
      • festīnō 急ぐ

_ 第1変化動詞の不定法

  • 第1変化動詞の不定法について
    • 不定法(正式には、不定法・能動相・現在)が大切であることはすでにふれました。
    • 第1変化動詞の不定法について、少し詳しく見てみましょう。
    • amōの不定法は amāre(アマーレ)です。
    • このように不定法が -āre で終わる動詞を第1変化動詞と呼ぶと考えて差し支えありません。
    • 一般的な辞書では amō が見出し語、その右隣に -āreと記されています。
    • 不定法が -āre であれば amō と同じ語尾変化をすると考えてよいわけです。
    • cantō を例に取りましょう。この動詞の不定法も amō と同様 cantāre となります。つまり、語尾が「アーレ」と発音される点に注意します。
    • 上に示した amō の変化表を参考にして cantō を正しく活用させてみましょう。
    • amō, amās, amat...となるのだから、cantō, cantās, cantat...となるはずです。

_ 動詞の学習法

  • 第1変化動詞の学び方
    • 第1変化動詞の代表例としてはじめにamōを紹介し、今それ以外の例として、cantōがあることを見ました。では、cantōの活用を表にまとめてみましょう。
    • まず自分で答えを紙に書いてみてください。
    • 答えは次のようになります。
      人称・数単数複数
      1人称cantōcantāmus
      2人称cantāscantātis
      3人称cantatcantant
  • いかがですか?もしお手元に何かラテン語の入門書があれば、「第1変化動詞」と書かれた単語をいくつか選び、このような活用表を作る練習をしてください。わざわざ罫線を引くまでもありませんが。念のため(笑)。
  • ひとりでつぶやくなら、こんな感じになります。「カントー、カンタース、カンタト、カンタームス、カンターティス、カンタント」。かんたんですね :)

_ 第1変化動詞の例文

  • 例文の紹介
    • 第1変化動詞を含むラテン語の例文をいくつかご紹介しましょう。
    • 太字の動詞が第1変化動詞(直説法・能動相・現在?)です。
ラテン語日本語
Cōgitō ergō sum.私は考える。ゆえに、私は存在する。
Dum spīrō spēro.(私が)息をする間は、希望がある。
Aquila nōn captat muscam.鷲(わし)は蠅(はえ)をつかまえない。
Bonī amant bonum.善人は善を愛する。
Fāma volat.噂が飛ぶ。
Varietās dēlectat.多様性は喜ばせる。

_ 第1変化動詞の例文詳解

  • Et arma et verba vulnerant.
    • 「エト・アルマ・エト・ウェルバ・ウルネラント」と読みます。
    • et A et B の構文は、英語の both A and B と同じです。
    • arma(中性名詞複数主格「武器」)とverba(中性名詞verbum(2)複数主格「言葉」)が文の主語です。
    • 動詞は vulnerant(第1変化動詞vulnero(-are)=to hurt) で、三人称複数の語尾になっています。
    • 意味は、「武器も言葉も(人を)傷つける」となります。ラテン語では動詞が他動詞であっても、目的語を省略することがよくあります。
  • Dum spīrō, spērō.
    • dumは「~の間」という意味の接続詞です。
    • spīrō, spērō はそれぞれ第1変化動詞の単数1人称で、それぞれ「息をする」、「希望を持つ」の意味です。
    • 「ドゥム・スピーロー・スペーロー」と読みます。
    • 直訳は「息をする間、私は希望を持つ。」すなわち、「生きる限り、希望をもつことができる。」(=死んだら希望などもてない。)となります。
  • Verba volant, scripta manent.
    • 「ウェルバ・ウォラント・スクリプタ・マネント」と読みます。
    • verba は第2変化中性名詞 verbum (=word) の複数・主格で、「言葉は」という意味になります。
    • 第1変化動詞 volant は verba(複数)にあわせて語尾が3人称複数の形になっています。「飛ぶ」という意味です。
    • scripta は scriptum(書かれた文字)の複数・主格です。
    • scripta は元来第3変化動詞 scribo (書く)の完了分詞ですが、一般に「書かれたもの(文字)」という意味をもつ名詞として用いられます。
    • 第2変化動詞 maneo(=とどまる)の現在・複数・3人称の形が manent です。
    • 「言葉は飛び去るが、書かれた文字はとどまる。」という意味になります。
  • Sibi imperāre est imperiōrum maximum.
    • 「シビ・インペラーレ・エスト・インペリオールム・マクシムム」と読みます。
    • sibi は再帰代名詞三人称・与格です。「自分自身に」となり、この文の場合、imperāre(支配すること)の目的となります。
    • imperāre は「支配する」を意味する第1変化動詞 imperō の不定法・能動相の形です。
    • imperiōrum は「支配」を意味する第2変化の中性名詞 imperium の複数・属格です。解釈上、「部分の属格」とみなせます。「・・・のうちで」となります。
    • maximum は「大きい」を意味する第1・第2変化型形容詞 magnus の最上級で、形は「中性・単数・主格」です。うしろに imeprium を補うことができます。
    • 「自分を支配することは、支配のうちで最大のものである。」という意味です。
  • Medicus cūrat, nātūra sānat.
    • 「メディクス・クーラト、ナートゥーラ、サーナト」と読みます。
    • medicus は「医者」を意味する第2変化名詞の単数・主格です。
    • 動詞 cūrat は、「治療する」という意味の第1変化動詞で単数・三人称・現在の形です。
    • 前半は、「医者は治療する」の意味になります。
    • 一方、nātūra は「自然」を意味する第1変化名詞で、単数・主格の形(辞書の見出し)です。
    • sānat は「癒す」という意味の第1変化動詞 sānō の単数・三人称・現在の形です。
    • 後半の意味は、「自然は癒す」となります。

_ 第1変化動詞の命令法

  • 命令法とは
    • 文字通り、相手に命令する表現です。会話文はもちろん、格言によく見られます。
    • 作り方は簡単です。上でふれた不定法の語尾から -re を取った形がそのまま命令法になります。
    • amō の場合 amāre から -re を取るので、amā となります。
  • 例文の紹介
    • Ōrā et labōrā. 祈りなさい、働きなさい。
      • ōrō は「祈る」、labōrō は「働く」を意味します。ゆっくり声に出して発音してみて下さい。ラボーラーの音の中にオーラーの音が響きます。労働の中に祈りが宿っているという感じです :)
    • Sī vīs amārī, amā. もしあなたが愛されることを望むなら、愛しなさい
      • amārī は、amō の不定法・受動相の形です。「愛されること」という意味になります。
    • Festīnā lente. ゆっくりと急ぎなさい。
      • festīnō (急ぐ)の命令法が festīnā です。

_ 練習問題

  • 羅文和訳
  1. Amat.
  2. Nōn amās.
  3. Cōgitāmus et labōrāmus.
  4. Cantat et amat.
  5. Cantātis sed nōn labōrātis.

_ 練習問題の答え

  1. 彼(彼女)は愛す。
  2. あなたは愛さない。
  3. 私たちは考え、そして働く。
  4. 彼(彼女)は歌い、そして愛す。
  5. あなた方は歌うが、働かない。
  • いかがでしたか。一般的なラテン語の教科書にはたいていこのような練習問題がついています。答えが載っていないケースが大半ですが ;(
  • 力試しに、上の「答え」の日本文だけを見て、ラテン語に直してみて下さい。その答えは「練習問題」の問題文そのものです。つまり、自分で自分の答案が採点できます。こうして自習ができるわけです。
  • なお、このサイトでは「ラテン語検定試験http://aeneis.net/quiz/ がありますので腕試しが出来ます :)
  • 折を見て問題を追加していきますので、お見逃しなく。
Last-modified: 2010-08-16 (月) 21:30:06 (21d)