第一変化名詞
_ はじめに
教科書(「楽しく学ぶラテン語」)では第二変化名詞の後に紹介されています(p.22以下)。(普通は第一変化が先です)。第一変化名詞の活用はどんなことがあっても絶対覚えて下さい(^^)
(第一変化名詞と動詞の第一変化だけ完璧に覚えていても、「ラテン語をかじった」と言えそうです。所要時間30分あればおつりがくるかも?)
ただ、どの単語を使って覚えるか、それが重要です。教科書では mensa (机)を例にとっていますが、机だと単数呼格で「机よ」と呼びかけねばならず、ちょっと興ざめです(笑)。
お勧めは「星」や「バラ」ということになりますが、みなさんはみなさんでお好みの単語で暗記してみて下さい。お好みと言われても、どこから選べばよいの?という方には、巻末の語彙表のうち、-a で終わる名詞を探して下さい。それが第一変化です(相当おおざっぱですが)。
では、「星」(stella)で活用練習をしてみます。
単数から順に、主格(呼格)、属格、与格、対格、奪格でいきます。
stella, stellae, stellae, stellam, stellā(最後の -ā は長い) stellae, stellārum, stellīs, stellās, stellīs 以上です。
やはり、rosa の方がタイプする量が少ないので覚えやすそうです。「バラよ」(rosa)と言えば、なんとなくロマンチックでもありますし。ちょっと哲学がお好きな方は、vīta(人生、命)などがよいかもしれません。philosophia (哲学)でもよいのですが、単語の綴りが長いです^^
_ 特徴
女性名詞がほとんどです。victoria は第一変化の女性名詞です。よく「勝利の女神」と言いますが、それはこの名詞が女性名詞であることと関係しています。 元はギリシア語のニケー(Nike はナイキと発音しますが、元はギリシア語)です。そのラテン語名が victoria (ウィクトリア)です。つづりが-a で終わっています。これが第一変化名詞の最大の特徴です。
_ 活用練習
- ワシを意味する aquila を活用させてみましょう。
単数 主格 aquila 属格 aquilae 与格 aquilae 対格 aquilam 奪格 aquilā(最後の a は長い)
複数は順に、aquilae, aquilārum, aquilīs, aquilās, aquilīs となります。
教科書23ページには mensa (テーブル)を例にとって活用表が示されています。自分でこの表を完成できるまで練習します。
_ 第一変化名詞
語尾が -a で終わる女性名詞が中心になります。まずは黙って覚えましょう 
_ 第一変化名詞 stella「星」(ステッラ)の変化
- 単数の主格から順に読むと、「ステッラ・ステッラエ、ステッラエ、ステッラム、ステッラー」となります。
- 複数は「ステッラエ・ステッラールム・ステッリース・ステッラース・ステッリース」と発音します。
- 単数奪格で、語尾の ā を長く読む点に注意します。
- 単数主格 stella は、「星は」と訳せます。
- 呼格 stella は「星よ」という意味になります。
- 与格 stellae は、「星に」とか「星にとって」という意味になります。
- 対格 stellam は「星を」という意味になります。
- 奪格(だっかく)stellāは一言で説明できませんが、しいて訳せば、「星から」とか「星によって」と訳すことができます。in や ex といった前置詞とセットで登場することが多い格です。
- in stellā 星の中で、星において
- ex stellā 星から
_ 第一変化名詞の特徴
- 第一変化名詞の大部分は女性名詞です。
ラテン語 日本語 ラテン語 日本語 dea 女神 fīlia 娘 puella 少女 rēgīna 女王 fāma 噂 glōria 栄光 terra 大地 via 道 vīta 人生 victōria 勝利
- 第1変化名詞で男性のものは、agricola アグリコラ 「農夫」、nauta ナウタ 「水夫」、poēta ポエータ 「詩人」、collēga コッレーガ 「同僚」、scrība スクリーバ 「書記」などごく少数です。
_ 余談
- ギリシア神話の「ケパロスとプロクリスのエピソード」では、妻の誤解(夫に愛人がいるという勘違い)は、そよ風(aura)に語りかけた夫の言葉に原因がありました。「そよ風(=aura アウラ)よ」という言葉は、まるで女性に対する語り掛けであると錯覚されたからです。(つまり、aura は女性名詞である点がポイント)。
_ 辞書の見出し
- 第一変化名詞の場合、辞書の見出しは一般に、fāma, ae, f. と表記されます。
- 単数・主格の次に、単数・属格の形 (-ae)をかくことにより、この単語の変化形が第一変化名詞であるとわかる仕組みです。
- ae と表記されているのは fāmae の語尾を示したものです。
- ae の次のf. は女性名詞 (feminine)であることを示しています。
_ 語順あれこれ(余談)
- Aquila nōn captat muscam. 鷲(わし)は蝿(はえ)を捕まえない。
- このうちaquila, muscam はともに第一変化名詞です。これを見抜けないと辞書は引けません。また、このタイプの名詞は辞書の見出しが -a で終わりますが、muscam は -am で終わっています。-a ではありません。なぜかというと、語尾が格変化するためです。
- 慣れた人は単語の意味がわからなくても、こう訳せます。「aquila が musca を captō しないのだ」と。(ちなみにラテン語は英語のように助動詞を使って否定文を作るのではありません。nōn 一語を添えれば否定文になります)。あとは辞書を引くだけです。
- なお、ラテン語の場合、語尾で主語、目的語が判定できますので、語順は次のようにもかえられます。
- Muscam nōn captat aquila.
_ 第一変化名詞の例
- amīcitia 友情
- dīvitia 富
- flamma 炎
- grātia 感謝、恩恵
- insula 島
- īra 怒り
- lacrima 涙
- laetitia 喜び
- pecūnia お金
- philosophia 哲学
- vīta 人生、命
_ 第一変化名詞の用例
| Stella micat. | 1つの星が輝く。 |
| Stellam videō. | 私は1つの星を見る。 |
| Stellae micant. | 複数の星が輝いている。 |
| Stellās videō. | 私は(複数の)星を見ている。 |
- ラテン語の語順はかなり自由で、英語のように語順で品詞が識別できるようにはなっていません。
- それだけに、語尾変化(名詞、動詞をとわず)に凝縮された活用の情報が、決定的に重要な意味をもっています。
- 上の例で、Micat stella. や Videō stellam. の語順でもよいです。
_ 第一変化名詞の例文詳解
- Aquila nōn captat muscam.
- Vīta brevis, ars longa.
- Jūstitia saepe causa glōriae est.
- 「ユースティティア・サエペ・カウサ・グローリアエ・エスト」と読みます。
- Jūstitia は「正義」を意味する第一変化名詞、単数・主格です。この文の主語です。
- saepe は「しばしば」という意味を表す副詞です。
- causa は「理由、原因」を意味する第一変化名詞、単数・主格です。この文の補語になっています。
- glōriae は語尾に注意して下さい。-a でなく -ae で終わっています。これを単数・属格と解釈しますと、glōria の、すなわち「栄光の」と訳せます。なににかかるか?というと、直前の causa です。
- 後半の causa glōriae は、「栄光の原因」と訳せます。
- 全文を訳せば、「正義はしばしば栄光の原因である」となります。
- Fortūna amīcōs conciliat, inopia amīcōs probat.
- Amīcitia sāl vītae.
_ 練習問題
- 羅文和訳(答えは一番下にあります)
- Puella cantat.
- Puellās amant.
- Fāma volat.
- Scientia est potentia.
- Jūstitia saepe causa fāmae est.
_ ラテン語検定試験
- 第一変化名詞だけに絞ったオンラインの練習問題を用意しました。 http://aeneis.net/quiz/quiz.cgi?h=1&d=noun1&m=1
_ 練習問題の答え
- 少女は歌う。
- 彼らは少女たちを愛する。
- 噂は飛ぶ。
- 知識は力である。
- 正義はしばしば名声の原因である。
- fāma は「噂、名声」の意味を持つ第1変化名詞です。