第二変化名詞
第二変化名詞は、-us で終わる男性名詞(amicus など)と -um で終わる中性名詞(verbum など)に大別できます。いずれも単数属格が -ī でおわるため、第二変化名詞としてひとくくりにします。
_ amīcus の活用
amīcus はアミークスと発音します。友、友達という意味です。これを活用させてみましょう。まず、今紹介した amīcus は「友は」という意味を持ちます。
「名詞を活用させる」とは、この単数主格(しゅかく)からスタートし、複数奪格(だっかく)までの形をスラスラ答えることを意味します。
ルールを説明します
主格の次は呼格(こかく)(省くこともある)、属格(ぞっかく)、与格(よかく)、対格(たいかく)、奪格(だっかく)。それぞれの格が何を意味するかはまたの機会に。この順で単数、複数と進みます。
では、amīcus を活用させてみましょう。
amīcus, amīce, amīcī, amīcō, amīcum, amīcō(以上単数)
amīcī, amīcī, amīcōrum, amīcīs, amīcōs, amīcīs(以上複数)
以上です。慣れないと目がちかちかするかもしれません。すみません、我慢して下さいm(..)m 発音してすらすら言えることも大事ですが、はじめは無理せず、正確に「写す」ことからはじめてもよいでしょう。写しているうちに、お手本を見ずに書いてみよう、と思うはずです。自分で書いた活用表とお手本とを比べて「添削」します。面倒ですが、誰もが通る道なので、ここを大事にして下さい。
発音の仕方は次の通りです。
「アミークス・アミーケ・アミーキー・アミーコー・アミークム・アミーコー」
「アミーキー・アミーキー・アミーコールム・アミーキース・アミーコース・アミーキース」
何度も繰り返し唱えます。また、覚えたと思ったら、白い紙に覚えたことを書き出して確認してみます。
ラテン語の勉強とは、このような地味な作業の上に展開します。活用の暗記は避けて通れません。
少しでも楽しく?やるため、別サイトにクイズをご用意しました。覚えたら忘れないうちに、クイズに挑戦して下さい。
http://aeneis.net/quiz/quiz.cgi?d=noun&m=1 第一・第二変化名詞の確認テスト
ラテン語は辞書があっても、活用がわからなければ訳ができません。
_ Vērī amīcī rārī の解釈
次の例を見て下さい。
Vērī amīcī rārī. (ウェーリー・アミーキー・ラーリー)
今出てきた amīcī が使われています。さて、この amīcī は何と訳せばよいでしょうか。
辞書には vērī, amīcī, rārī の形で載っていません。どうしましょう?
それぞれ vērus, amīcus, rārus に「直して」辞書を引かないと「載っていない!」とあわてることになります(辞書には単数主格の形が掲載されている、ということです)。
vērus は「真の」、amīcus は「友」、rārus は「まれな」という意味だとわかります。では、全体でどういう意味になるでしょうか。
うすうすおわかりですね。「真の友はまれである」と。
ただ、活用がきちんと見極められないと「気持ち悪い」です。
活用表をみて、-ī でおわる形のうちで、なおかつ文章の主語になりうる形(すなわち主格)はないか、探します。でないと「真の友は」と訳してはいけないことになります。
そう思って調べると、あった、ありました。
複数主格は -ī でおわります(amnīc''ī'' です)。
ということで、vērī, amīcī, rārī のどれもが、名詞あるいは形容詞の「複数・主格」であると解釈することができます。
細かいことを言えば、sunt (sum の変化)が省略されています。sunt を補うと、Vērī amīcī rārī sunt. です。
_ 第二変化名詞
_ 第二変化名詞の呼格
- 呼格が主格と異なるのは、第二変化名詞の単数だけです。
- 他の例:
- domine(ドミネ):主よ
- Aeole:アエオルスよ
- Brūte(ブルーテ):ブルートゥスよ
- 「ブルータスよ、おまえもか」のラテン文は、Et tū, Brūte?(エト・トゥー・ブルーテ)です。
- amīce
- domine
- Aeole
- Brūte
- クイズの答え
- amīcus
- dominus
- Aeolus
- Brūtus
_ us で終わる第二変化名詞の特徴
_ us で終わる第二変化名詞の例
- animus 精神
- annus 年
- avus 祖父
- fluvius 川
- equus 馬
- hortus 庭
- locus 場所
- lupus オオカミ
- medicus 医者
- morbus 病気
- mūrus 城、要塞
- populus 人民
- somnus 眠り、睡眠
- sonus 音
- ventus 風
_ 例文
- ventus furens 荒れ狂う風
- furens は「荒れ狂う」を意味する第3変化動詞 furō の現在分詞です。
- Lupus in fābulā. 話の中のオオカミ(=噂をすればなんとやら。)
_ -um で終わる中性名詞
_ verbum「言葉」(中性名詞)の活用
- 単数の発音は、「ウェルブム・ウェルビー・ウェルボー・ウェルブム・ウェルボー」、複数は「ウェルバ・ウェルボールム・ウェルビース・ウェルバ・ウェルビース」となります。
- 中性名詞は主格と対格が同じ形です。また複数主格と対格は必ず -a で終わります。これは第二変化名詞に限らず中性名詞に共通した特徴です。
- 下の例文の arma, verba, exempla, scripta 参照。
- 上に挙げた二種類の活用表を見て、amīcus とverbum では、まったく変化のスタイルが違うと思われるかもしれません。しかし、単数の属格はどちらも、-ī(イー)で終わっています。この点で第二変化名詞の特徴(単数の属格が -ī で終わる)を共有しているわけです。
- まとめると、男性名詞、中性名詞を問わず、辞書の見出しの右隣に書かれている単数属格の形が -&latin(i_) ;であれば第二変化名詞と考えてよいわけです。
- ちなみに、第一変化名詞の単数属格は -aeで終わります。第三変化名詞は -is、第四変化名詞は -ūs(ū) ;は長い)、第五変化名詞は -&latin(eī(e は母音の後は長い、子音の後は短い。ī は長い)で終わります。
- ラテン語の名詞でつまづいたら、「全部で五つしかない」と言い聞かせて下さい。
_ um で終わる第二変化名詞の例
- argentum 銀
- aurum 黄金
- bellum 戦争
- dōnum 贈り物
- exemplum 模範
- ferrum 鉄
- forum 広場
- imperium 支配・帝国
- ingenium 才能
- lucrum 利益
- malum 悪・不幸
- negōtium 仕事
- odium 憎しみ
- officium 義務
- oppidum 町
- ōtium 暇
- perīculum 危険
- proelium 合戦
- rēgnum 王国
- signum 印
- studium 熱意・研究
- supplicium 苦悩
- templum 神殿
- theātrum 劇場
- vīnum ワイン
- vitium 欠点
_ 練習問題
- 羅文和訳(解答はこのページの一番下です)
- Perīculum sciō.
- Templum vidēs.
- Bonī amant bonum.
- Medicus cūrat, nātūra sānat.
- Fortūna amīcōs conciliat, inopia amīcōs probat.
- 語彙
- bonī 善人
- bonum 善
- medicus 医者
- cūrō 治療する
- nātūra 自然
- sānō 癒す
- Fortūna 運命
- conciliō 与える
- probō 試す
_ 第二変化中性名詞を使ったラテン語の表現
- Et arma et verba vulnerant. 武器と言葉は傷つける。
- Exempla docent, nōn jubent. 模範は教えるが、命令しない。
- Verba volant, scripta manent. 言葉は飛ぶが、文字は残る。
- 「ウェルバ・ウォラント・スクリプタ・マネント」と読みます。
- verba は第2変化中性名詞 verbum (=word) の複数・主格で、「言葉は」という意味に--なります。
- volant は verba(複数)にあわせて語尾が三人称複数の形になっています。「飛ぶ」という意味です。
- scripta は scriptum(書かれた文字)の複数・主格です。
- scripta は元来第3変化動詞 scrībō (書く)の完了分詞ですが、一般に「書かれたもの(文字)」という意味をもつ名詞として用いられます。
- 第二変化動詞 maneo(=とどまる)の現在・複数・三人称の形が manent です。
- 「言葉は飛び去るが、書かれた文字はとどまる。」という意味になります。
- Vērum cūr nōn audīmus? Quia nōn dīcimus. 我々は真実をなぜ聞かぬのか?我々が話さないからだ。
- 「ウェールム・クール・ノーン・アウディームス?クィア・ノーン・ディーキムス」と読みます。
- vērum(真実)を cūr(どうして)、nōn audīmus (私たちは聞かないのか)。quia (なぜなら)、nōn dīcimus.(私たちが言わないから)。
- dīcimus の目的語は、vērum と考えられますが省略されています。
_ 練習問題の答え
- Perīculum sciō. 私は危険を知っている。
- Templum vidēs. あなたは神殿を見る。
- Bonī amant bonum. 善人は善を愛する。
- Medicus cūrat, nātūra sānat. 医者は治す。自然は癒す。
- Fortūna amīcōs conciliat, inopia amīcōs probat. 順境は友を与え、欠乏は友を試す。